●時給2万円の出張
(本当にあった話です)

外注さんの管理表をチェックしていた朝です。
一本の電話が掛かってきました。

「申し訳ない。明日から大阪に来て下さい。」

あまりに突然なので、びっくりです。

もちろん手帳には、予定がびっしり書かれています。
身動きできる状態ではありません。

「余程の事だと思いますが、当面、出張の予定は入れられません。
 後ほど御社に伺う様にしますので、状況をお話いただけますか?」

と言ったものの、聞く耳もたず。

「時間がありません。
 のるかそるかの事態です。本当に一刻を争います。
 『すべての予定をキャンセルして』 来て下さい。」

ものすごい緊迫した状況が伺える。

技術的に難解な問題が発生し、製品開発に深刻な遅れが出ているとのこと。
10日以内に解決して納品しないと、多額のペナルティを払うことになりそうだ。

この業界は信用で成り立っている。納期遅れは致命的だ。
ましてや、ペナルティを払うほどの事態が伝われば、企業の存亡に関わる。

聞くと緊急役員会が召集され、『解決能力のある人に現場で直接対処して貰う』
と決まったらしい。その白羽の矢が私に立ったと言うわけである。

そうはいっても、こちらにも都合と言うものがある。
抱えているプロジェクトは放置はできないし、売上も確保しなければならない。

先方は既に10日間分の宿泊先を確保しているのですぐに来てくれと言う。
抱えている仕事を代理に任せても、損失は大きく、10日も席を空けられない。

10秒くらいだったろうか。
メモ用紙に数字が踊る。

「では明日から1週間、協力させていただきますが、120万円になります。
 それから、宿泊費、交通費を別途請求させて頂きます。宜しいですか?」

120万。足元を見ているわけではない。
実際、1週間離席した場合の損失は 150〜200万円と推測される。
この数字は、この会社との今後の関係を考慮して、はじき出したものだ。

もちろん金額の根拠と、これでも抑えている旨を話した。

電話の向こうで、暫く話し声が聞こえる。(保留ボタンを押し忘れている様だ)

実際は3分くらいだろうか。長く待った気がする。

「今、弊社のトップからOKが出ました。お願いします。」

こうして、怒涛の大阪一週間旅程が始まった。

(大阪での詳しい内容は別の機会に...これスゴイんです)

1週間で120万。中途の日曜は休むので実質6日。1日あたり20万の契約に
なるので、1日10時間の作業として換算すると、時間あたり2万円となります。

(もちろん この依頼がきたのは、それまでの実績を評価して頂いたからです)


●価格は相対的なもの

どんな物でも、受け取るお客様の価値感により 高いか安いか 決まります。

極端な例かもしれませんが、

超有名シェフの本格カレーライス 限定20食、2,800円の情報があったとします。

カレーの大好きな人は、真っ先に並びます。(私も大好きです^^)

でも、そうでない人は、値の張る食事 としか思いません。


ビジネスの基本は、商品やサービスを求めているお客様を見つけだし、誘導し、
そして きちんと価値を認識して頂くことにあります。

お客様に、それがどうしても『欲しい』と思わせなくてはなりません。

「買って下さい」と言うのはビジネスではないのです。

お客様に『欲しい』と思わせ、購入して頂くのはもちろんですが、さらに感謝
され、あなたのファンになってもらわなければなりません。

ファンになってくれれば、次の商品はとても売りやすくなります。

「新製品が出たので使ってみました。
 この辺がちょっと気になりましたね。

 それにもまして、この機能がすごい。
 たちまち こんな効果がでたんです。」

絶対の信頼をおける人から、こんな風に言われたらどうします?

内容はどうであれ、買ってしまう人もいるでしょう。
他で売っているとしても、あなたから買ってくれます。

(もちろん粗悪品だった場合、ファンを失いますので、
販売するものは 念入りに 調べないといけません)

レ あなたは、お客様に信頼されていますか?
レ 商品のある所まで、丁重に案内していますか?
レ お客様に『欲しい』と認識させていますか?
レ 『これなら買える』金額で販売されていますか?

どんなに広告を打っても、お客様は、まず入り口で『信頼できるかどうか』
確かめようとします。

あなたに接する入り口に、信頼できる根拠を、きちんと示していましたか?
今一度確認してみましょう。